アップルから依頼を受けて新製品用のピンを開発。そのピンの増産を何度も求められ、量産体制を構築した。ところが、それから約半年後に突如、ピンの発注量が激減。実はこのとき、アップルは島野との“合意”を無視するかたちで、別のサプライヤーに代替ピンを製造させていた。しかも、これが島野の特許権を侵害していた。

 取引再開を求めたが、アップルは値下げを要求。やむなくその条件をのむと、さらにリベートの支払いも必要だと言ってきた。アップルが持つ在庫ピンの購入時価格と、島野が値下げしたピン価格の差額分に、在庫ピンの数量をかけて算出した約159万ドル(当時、約1億6000万円)を払えという。これは実質的に、決済が終わった売却済み製品の値下げの強要で、不当なリベート要求である。

 これらに伴う開発費や設備投資、アップル向け製造ラインの休止、不当なリベートなどの損害賠償を求める。また、特許権侵害の対象であるアップル製品の電源アダプタと、それが同梱されているノートパソコン、MacBook ProとMacBook Airの日本での販売差し止めも請求する。以上が島野の主張の概要だ。