訴えを起こされた企業が、マスコミの取材に対するコメントで

「訴状が届いていないのでコメントできない・・・」

と答えているケースが多く見られます。

常識的に考えても、訴状は訴えが起こされたその日に相手方に届くことはないだろうと思いますが、

実際には、いつころ届くのだろうか・・・という素朴な疑問が湧いてきました。

いろいろ調べたところ、参考になるサイトが見つかりました。

http://homepage1.nifty.com/lawsection/yomoyama/commoncomment.htm

(以下引用)

「訴状をみてみなければコメントできないならば、さっさと訴状をみてコメントせい!」と思われるかも知れませんが、これが1日2日でできる話ではありません。訴訟に際して原告がわざわざ「これが訴状の内容です」と持ってきたりするならば別ですが、裁判所から訴状が被告に届くのは、訴えを提起してから1週間とか2週間も経ってからなのです。

なんでそんなに時間がかかるのかなのですが、これは裁判所の内部手続が次のようになっているからです。

訴え提起 (裁判所に訴状を提出する)

裁判所の事件受付係が訴状の内容を確認し、記載漏れや印紙の不足がないかをチェックする

問題があれば訂正した方がよいむねを指導し、問題がなければ受理する。

(この時点で裁判所に訴えが提起されたといえる)

裁判所の事件受付係から実際に裁判を担当する部に配転される

(これに数日かかる)

配属された部で書記官が訴状の記載内容などをチェックし、問題がなければ裁判官に回す

裁判官が訴状を確認して、補正すべき点が有れば書記官を通じて補正を命ずる

同時に担当書記官から原告(代理人がいる場合にはその弁護士)に電話やFaxで裁判進行に関する照会をする

原告あるいはその代理人から照会の回答がくる

(これにも数日かかる)

書記官が期日簿をみて第1回の期日の候補日を選んで、原告(代理人弁護士)に電話やFaxで照会する

原告(代理人弁護士)が法廷に出廷できる日程を選んで期日を決める

(場合によると弁護士が不在だったりして1日では決まらなかったりする)

第1回期日が決まったところで、送達の準備をする

書記官が訴状を被告にも送達する

訴状の送達は特別郵便なので、郵便局員が届けて受領の判子をもらう

相手が不在の場合には再度届けるなりする

(これにもまた数日かかる)

被告が訴状を受領する

この時点でようやく訴訟が係属する(裁判をすることができる状態になる)

第1回期日

という具合なのです。

こうなると、訴状が裁判所の中をくるくる回っている内に数日が経ち、被告に届くまでにはどうしても1週間や2週間はかかるのです。

訴えた側は裁判所に訴状が受理されたその日に記者会見をして「本日訴訟を提起しました」と発表します。しかし、被告が訴状を見ることができるのはまだまだ先です。この段階でコメントを求められても、既に説明したように、実際のところ応えられようがないのです。

(中略)

そこで、大体どんな裁判でもコメントを求められた被告は紋切り型の回答しかしないし出来ないのです。

(引用終了)

ということのようです。

訴訟の提起から1・2週間を経過しないと、被告に訴状が届かないのはマスコミの方々も重々承知でしょうから、コメントを取るほうも少しは取材方法を考えては・・・、と思います。わざわざニュース等で「訴状が届いていないのでコメントできない・・・」と伝えるバリューはない!