森田:どこかで線を引いて、ここは国のために残す、ここは統廃合する、と誰かがリーダーシップを取って決めていけるかが、これからの政治のポイントになってくるでしょう。1998年ごろにはもう、人口トレンドから見ると、行政サービスを維持できるだけの人口を保てない市町村が出てくるのはある程度わかっていたんです。だから、合併して行政サービスを維持しましょうという提案をしたのですが、当時は猛反発を受けました。

膳場:自治体を運営する側の人としては、受け入れがたい提案でしょうね。

森田:でもすでに、行政サービスが立ちいかなくなることでの被害が出初めているんですよ。今年の夏、ある小さな過疎地域の自治体で大雨によるがけ崩れが起こったのですが、避難命令が出ず、犠牲者が出たそうです。なぜ避難命令を出せなかったかというと、出しても避難所に配置するだけの職員がもうその自治体にはいなかったからだそうです。市民サービスを実施する人が足りないために、災害があっても避難させられず、住む人の安全が確保できない自治体は今後も増えていくのではないでしょうか。

膳場:災害に対応できないのは、切実な問題ですね……。