<大使館の持つ特権>
ここを読んでいくと、今回の件がどれほどの事態なのかわかってくるかと思います。
国際法(ウィーン条約)に基づき、外交特権を持っているのです。
言葉ではよく聞く外交特権ですが、大使館とはどのような特権を持っているのでしょうか。
この特権の具体例を見て行くと、「大使館の位置づけ」と、今回の衝撃が理解できるかと思います。

外交特権を規定したウィーン条約は国際法でございますが
「国際的に認められた国」は、守れて当然なわけです。
しかも、これは本当に初歩的なものなのです。
それにより相互に大使館を置き合っているわけですから。

大使館

・特権・免除
大使館を含む在外公館(総領事館、領事館を除く)は、国際法(外交関係に関するウィーン条約)において外交特権を有し、その敷地は不可侵とされ、設置された国(受け入れ国:接受国)の官憲は同意なしに立ち入ることが出来ない。

また、租税などについてもすべて本国の領土と同じ扱いをうける。そのため、亡命希望者が大使館の中に逃げ込むという事件がしばしば発生する。

さらに接受国は、私人による公館への侵入・破壊及び、公館の安寧・威厳の侵害を防止するために、適当なすべての措置をとる特別の義務を負っている(同22条2)。

この措置には、原状回復のための措置や損害賠償義務だけではなく、事前予防の義務もふくまれている。(2005年の中国における反日活動やイランアメリカ大使館人質事件を参照)

(後略)
wikipedia:大使館

ここで特筆して置くべきは、大使館の機能についてです。
大使館の敷地内とは、「海外」と言ったほうがわかりやすいでしょう。

日本におけるアメリカ大使館の中はアメリカですし
日本におけるイギリス大使館の中はイギリスですし
日本におけるフランス大使館の中はフランスなのです。
(以下、略)
税金もそうですし、適用法もそうなります。

重要事項なので書いておきますが、「その敷地は国際法に基づき不可侵」なのです。
これは、あまり大袈裟な例えではないと思いますが、「侵攻」と同じぐらい、そんなレベルの話です。

日本におけるアメリカ大使館の中はアメリカですが、
ここに日本人とは言え、無理やり入れば「領土侵略」のようなものです。
日本におけるイギリス大使館の中はイギリスですが、
ここに日本人とは言え、無理やり入れば「領土侵略」のようなものです。
日本におけるフランス大使館の中はフランスですが、
ここに日本人とは言え、無理やり入れば「領土侵略」のようなものです。
(以下、略)
ですから、大使館を受け入れている側の国(接受国)は、国際法に基づき以下の義務を課されています。
この場合、韓国が課されていました。

接受国は、私人による公館への侵入・破壊及び、公館の安寧・威厳の侵害を防止するために、適当なすべての措置をとる特別の義務を負っている(同22条2)。

この措置には、原状回復のための措置や損害賠償義務だけではなく、事前予防の義務もふくまれている。

ここらあたりを理解していくと、今回の件が洒落では済まないと、そのレベルがわかってきたのではないでしょうか。

冒頭に述べましたが、大使館とは「国家そのもの」と言っても過言ではないのです。
この意味が伝わったとか思います。

<それでは、「大使」とは何か。>
大使館でありますから、当然、大使がいるわけです。
大使がいるから大使館なのですから。。。

「大使」と略しておりますが、正しくは(多くの場合)「特命全権大使」であります。

重要な部分です。
もったいぶったわけではないのですが、「大使」の説明をしていきましょう。

特命全権大使

特命全権大使(とくめいぜんけんたいし、仏: ambassadeur extraordinaire et plénipotentiaire、英: ambassador extraordinary and plenipotentiare)とは、外交使節団の長で最上級の階級である。接受国の元首に対して派遣され、外交交渉、全権代表としての条約の調印・署名、滞在する自国民の保護などの任務を行う。国際連合などの国際機関の政府代表部に対しても派遣される。

(後略)

wikipedia:特命全権大使

[豆知識]
長いので割愛しますが、興味深い項目もあったため一部を豆知識として紹介。

イギリスの場合は「高等弁務官」と呼び、大使館のことを「高等弁務官事務所」と呼びます。

バチカンの場合は少し特殊だそうです。
かつては2階級あり、司教や大司教がなる教皇大使 (Nonce apostolique) と枢機卿がなる教皇特派大使 (Légat apostolique) があった。現在は教皇大使のみ、とのこと。

そして日本。
陛下が認証する、のです。
特命全権大使は特別職の国家公務員かつ外務公務員(=外交官)であり、その任免は、外務大臣の申出により内閣が行い、天皇陛下がこれを認証する。また、特命全権大使の信任状及び解任状は、天皇陛下がこれを認証する。
(wikiでは「陛下」が略されていたため追記しています。)

<大使の重み>
正式には「特命全権大使」でございますが、重みは伝わったでしょうか?

日本が世界に配置する大使は、陛下が認証されるのです。
ここで重みをが伝わる方も多いのではないでしょうか?
陛下が認証し、派遣された、日本からの全権委任の、、、条約の批准なども行える者・・・。
見ようによっては、その国においては「日本そのもの」とも言えます。

「外交使節団の長で最上級の階級」というだけでも、その重みがわかるかと思います。
大使館を置いている国(接受国)の元首に対して派遣されるため、今回の場合は「パク・クネ大統領」の責任であります。
(ここは伝わっていないような気がします。)
当然ながら、ひいては韓国という国家としての責任でございます。

韓国は国家としての面子が丸つぶれ、そりゃそうです。
基本的な国際法すら遵守できない国なのですから。
国家と呼んでいいか迷うレベルです。

大使は、「滞在する自国民の保護などの任務も行いますが、
「外交交渉」「全権代表としての条約の調印・署名」も行うのです。

目の前に国家があることと同義、
冒頭にお伝えした言葉は、まったくもって大袈裟な話ではございません。

<どうなるのか。>
日本の場合、公民の授業が甘いこと。
また、国家観について、国民の意識が低いという問題があります。
よって「国際感覚からズレているのはむしろ日本」だと言わせて頂きたい。
どうなるのか、ですが、結構大変なことになると思います。

アメリカにおいては、当然ながら「なんてことしてくれるんだ!」となります。
「あんな国に大使なんて置くな」と。

【具体例】在米韓国大使館の撤退
これは場合によっては、アメリカから「韓国の大使館を追放」という流れもあり得るかと。
国交があり、米韓安保もありますから、「本来はない」のですが、
今回、起きたことは本当に常識では考えられないことなのです。

そして、アメリカの場合、やっちゃうような思い切りの良さがあります。
少なくともイラクに無理やり侵攻することに比べれば、無理筋でもなんでもありません。

在米韓国大使館の撤退、ないとは思いますが、もしそうなった場合。
さらに韓国は世界から孤立します。
アメリカをして、世界の警察や、盟主のような扱い方は好きではないのですが、実態としてはその側面も否定できません。
万が一、そうなった場合、国家としての存続自体が危ぶまれるでしょう。

・世界からの嘲笑
正しくは「信頼の失墜」なのですが、これはすでに嘲笑でありましょう。
後述しますが、とても先進国と呼べるような状況ではありません。

取引などせぬし、「韓国」という名に対して、ブランドイメージの損壊は計り知れません。
毎回毎回、よくもまぁということを起こしますが、尋常ではない白眼視でございましょう。