『職工事情』では、明治時代の工員を虐待する事件が数多く掲載されていますが、加害者である経営者はみんな逮捕されて、禁固刑などの刑罰を食らっていることが記録されてます。

陸軍で体罰が発覚すれば、傷害罪で軍法会議に掛けられ戦時中は罰金20円ほどを取られました。(陸軍法務官で軍法会議の判事を務めていた原秀男の『二・二六事件軍法会議』参照)
伍長の給料一ヶ月分、上等兵の二ヶ月分です。兵隊は衣食住が支給で、給料はこずかいみたいなもんですから安く、当時の銀行員大卒初任給75円で換算すれば、いまの5-6万円の罰金と云ったところでしょうか。実際に取られるとなると結構痛い額です。

現代も、体罰教師や従業員を虐待する経営者を、戦前のように「犯罪者」としてきちんと罰すればそれでいいんですけど、なぜやらなくなってしまったのか。そこが問題なのです。